PlayStation 2版「ファイナルファンタジーX-2」解説

2024年12月1日

『ファイナルファンタジーX-2』は、2003年にスクウェア（現スクウェア・エニックス）からPlayStation 2用ソフトとして発売されたRPGです。FFシリーズ初の続編となる本作は、前作『ファイナルファンタジーX』（以下FFX）の2年後のスピラを舞台に、ユウナ、リュック、パインの新たな冒険を描きます。前作でスピラを救った大召喚士ユウナは、シンを倒したことで召喚士としての役割を終え、新たな道を模索していました。そんな中、ティーダに似た青年が映るスフィアを見つけ、その謎を解き明かすため、スフィアハンター「カモメ団」に入団し、スピラ各地を冒険することになります。

ドレスアップで変幻自在のバトルシステム

FFX-2のバトルシステムは、シリーズでおなじみのアクティブ・タイム・バトル（ATB）を採用しています。しかし、従来のATBとは異なり、コマンド実行前に待機時間があるのが特徴です。これは、前作のCTB要素を取り入れた結果であり、より戦略的なバトルを楽しむことができます。

本作最大の特徴は、「ドレスアップ」システムです。これは、FFIIIやFFVのジョブシステムを進化させたもので、戦闘中にキャラクターの衣装や能力を自由に変えることができます。ドレスアップには、「ドレスフィア」と「リザルトプレート」という2つの要素が関わってきます。

ドレスフィアは、キャラクターの能力を決定づけるもので、ガンナー、シーフ、戦士、歌姫、黒魔道士、白魔道士など、様々な種類があります。それぞれ特徴的なアビリティを習得することで、戦闘を有利に進めることができます。例えば、ガンナーは銃による遠距離攻撃や範囲攻撃を得意とし、シーフは敵からアイテムやギルを盗むことができます。戦士は属性剣による攻撃や敵の能力を下げる技を、歌姫は歌と踊りによる支援や妨害を行うことができます。黒魔道士は強力な黒魔法で敵を攻撃し、白魔道士は回復や補助魔法で味方を支援します。

リザルトプレートは、ドレスフィアを装着するための石版で、穴の数やラインの形状によって効果が異なります。戦闘中にラインで繋がったドレスに切り替えることで、状況に応じた戦術を取ることが可能になります。例えば、物理攻撃が有効な敵には戦士で攻撃し、魔法攻撃が有効な敵には黒魔道士に切り替えるなど、柔軟な戦闘を楽しむことができます。

変化を遂げたスピラと新たな勢力

FFXでシンを倒し、永遠のナギ節を迎えたスピラ。人々の心はエボン教から離れ、新たな時代へと動き出していました。寺院は新エボン党として再出発し、青年同盟やマキナ派など、様々な勢力が台頭します。

FFX-2では、変化したスピラの各地を冒険することになります。かつてシンとの戦いの舞台となった場所も、寺院の崩壊や人々の生活の変化によって、全く異なる様相を見せています。例えば、かつての寺院は放棄され、人々は新たな生活を築き、観光地化している場所もあります。また、エボン教の教えが崩壊したことで、機械に対する考え方も変化し、アルベド族の活動も活発化しています。

しかし、平和なスピラに、再び脅威が迫ります。1000年前の機械兵器ヴェグナガンが復活し、スピラを滅亡の危機に陥れるのです。ユウナたちは、スフィアハンターとして、この新たな脅威に立ち向かうことになります。

個性豊かな仲間たちとの絆と成長

FFX-2では、ユウナ、リュック、パインの3人がカモメ団として活躍します。ユウナは前作でスピラを救った大召喚士ですが、本作では快活な性格で、歌姫のドレスを身につけ歌って踊る姿も見られます。リュックは前作同様、明るく元気なムードメーカーで、パインはクールな皮肉屋ですが、仲間思いな一面も持ち合わせています。

彼女たちは、アニキやシンラなど、個性豊かな仲間たちと共に、飛空艇でスピラ各地を冒険します。アニキはリュックの兄でカモメ団の団長、シンラはスフィア解析担当の天才少年です。他にも、青年同盟のヌージや新エボン党のバラライ、マキナ派のギップルなど、様々な人物と出会い、協力しながら、ヴェグナガンを巡る戦いに身を投じていきます。

この冒険を通して、ユウナたちは仲間との絆を深め、成長していきます。ユウナはティーダの死を受け入れ、新たな一歩を踏み出す強さを手に入れます。リュックは兄との関係を見直し、パインは過去のトラウマを乗り越えていきます。